住民投票条例提案理由 (03年9月議会)   2003.9.25

 

 発議第15「小出町が町村合併をすることの可否を問う住民投票条例」の発議案を提出するにあたって、提案理由を、発議者を代表して申し上げます。

 最初に明らかにしておきたいことは、本条例は、当面する町村合併に反対してこれを阻止することを目的とするものではない、ということであります。町村合併の可否についてはさまざまな考え方や立場が存在するのが現実であり、そのことはまた当然のことでもあります。なぜならば、一般論として、市町村合併には、100%正しい合併も、100%まちがった合併も現実にはありえないのであって、メリットもあればデメリットもある、それらを比較検討しながら議論する、これが合併問題というものではないか、と思うからであります。したがって、われわれ発議者が一致しているのは、このあとに提案される合併5議案に対する賛成反対ではなく、ただ次の一点、すなわち、合併問題はこれからの地域の将来を長期にわたって左右する問題であり、町長と町議会議員のみによって決定をくだすには、あまりにも問題が大きい、このさい、合併するにせよしないにせよ、町民の意向はいずれにあるかを確かめたうえで決定すべきではないか、という点であります。

 昨今、地方の時代ということがよく言われます。市町村合併こそ地方の時代にふさわしい取り組みであるという趣旨の議論もさかんに行なわれておりますが、地方の時代とは、地方に住む住民が大切にされ、日本国憲法の定める地方自治の原則が、これまで以上に徹底して実行される時代、と解するべきであります。そして地方自治とは、定説によれば、団体自治と住民自治のふたつの要素があり、そのなかで「住民による自治」ということが地方自治の本質的要素である、と議員必携には書かれております。であるとすれば、百年の歴史を持つこの小出町を廃止して、他の町村とともに新しい自治体を結成するという大仕事を行なうにあたっては、何よりも町民の意思に基づくことが大切であることは申すまでもありません。

 一方これに対して、町民の意思は、選挙において議員に託されているのであって、議会の意思を問うことがすなわち町民の意思を問うことである、とする議論があります。しかしこの議論は次の理由で間違っております。町民が町長と議会議員に託したのは、将来4年間の小出町の舵取りであります。小出町の未来永劫の運命をいまの町長と議員に託したのではありません。したがって、今後長期にわたってこの地域の未来を決する町村合併については、改めてこの問題に限って町民の意思を問うのが当然のやりかたではないでしょうか。

 いまひとつ、今頃になって住民投票を提案するのは時期遅れで遅すぎるという意見に対して申し上げます。われわれはずっと以前から、合併をすすめるにあたっては、町民の意向を、全戸アンケートなり住民投票なりで確かめつつすすめるべきであるとくり返し主張して参りました。本来ならば、町長が住民投票条例を提案して然るべきものであります。しかし町長は、「町民の意向を何らかの方法で確かめることが必要になったときには考える」と言い続けるばかりで、今日に至ったわけであります。しかも、昨年夏の法定協発足の時点までには、合併ビジョン「うおぬま進化論」なる抽象的な文書がひとつ示されただけで、合併の是非を町民に問うといっても、是非を判断する材料がほとんど示されていなかったのであります。六町村の行政サービスの現状をすり合わせ、一定の方向が出始めたのはすべて法定協発足後のこの一年であり、しかも、合併の是非を判断するさいの最大のポイントである財政見通しが町民のまえに「たより」として配布されたのはようやく6月になってからであり、合併の全体像について町民への説明が行なわれたのは6月議会終了後の7月から8月にかけてであります。すり合わせるべき多くの項目が、当面現状のままとされ、合併後に決定が先送りされているため、合併後の具体像になお多くの不確定要素があり、判断材料は充分とはとうてい言えないのが現状ではありますが、ある程度の判断資料がそろった、これが現在の時点であります。したがって、この時点で住民投票を行なうことは、いままでの経過からして最適の時期であると考えるものであります。

 最後に、小出町が住民投票などしていれば、他の5町村と足並みがそろわなくなる、という議論があるかもしれませんので、それについて一言します。たしかに住民投票を実施するとなれば、行政側が現在予定している合併手続きのスケジュールに若干の変更を要するということになるかもしれません。しかし、それによって予定されている合併期日までが実現不可能になってしまうというものではありません。このさい、行政の都合よりも町民の意向こそ優先すべきであります。同僚議員諸氏のご賛同によって、本条例を可決してくださるよう心からお願いして提案理由を終わりとさせていただきます。

  (この議員発議は、われわれ発議者4名の賛成だけで、否決されました。)