合併議案反対討論 (9月議会)    2003.10.7

 私は、日本共産党を代表して、「議案第58号 北魚沼郡堀之内町・同郡小出町・同郡湯之谷村・同郡広神村・同郡守門村・同郡入広瀬村の配置分合について」ほか4議案について、反対の討論を行ないます。

 わが党が地方自治の大原則にのっとり、「住民こそ主人公」の立場に立っていることは、広く知られている通りであります。その立場に立てば、町村どうしが自由意志によって合併しまたは分離することは、その町村と住民の固有の権利であって、部外からとやかく干渉すべきことではないのであります。したがってわが党は、全国的な方針としては、合併に原則的に賛成するとか反対するとかという一定の態度をきめることはせず、個々の自治体と住民の自由意志を尊重しつつ、ただ、いま自公保政権が自らの政策の失敗によって招いた財政危機を、地方の犠牲によって切り抜けるべく、地方自治体への財政支出の大幅削減を最大の目的として、アメとムチの政策によって全国の市町村に合併を押し付けようとする政策については、明確に批判し反対する、こういう立場をとっているのであります。

 さてそこで、上程されました合併5議案についてでありますが、以下に述べる理由によって反対の態度を表明いたします。

 まず第一に、この合併は、始めから終わりまで、住民の声を聞かず、住民に正確な情報を与えない、徹底的に住民不在の合併であります。平成12年夏の、議会にすら事前にひとことの相談もないままでの、6か町村の町村長、議長たちによる、突然の任意の合併促進協議会の発足がありました。各町村の住民も、そしてわれわれ議会議員も、新聞の報道ではじめてこれを知ったわけであります。およそ町村合併というものは、まず、自分たちの町または村が、よその町村との合併を考えるべきかどうか、考えるとすればどこの町村を相手とすべきか、どこと話し合いをはじめるべきか、こういうことについて、議会はもちろんのこと住民のあいだでも十分に話し合いをして、大勢の赴くところを充分に見きわめたうえで合併のための協議機関をスタートさせるべきものであります。北魚沼の合併促進協議会は、これらのことをすべて跳び越した、乱暴極まるやりかたで発足したのであります。

 発足した任意の合併協議会では、合併の是非、必要性、合併のプラス面とマイナス面がまともに議論された形跡はありません。もしきちんとした議論が行なわれたのであれば、それなりの見解なり記録なりが文章としてまとめられ公表されて然るべきものであります。

 任意合併協の諮問機関として平成13年秋に発足した、108人の合併ビジョン検討委員会も、「合併の是非は論じない」という前提をまず立てたうえで、合併すること、しないことによるこの地域の将来像をそれぞれ明らかにする作業はすべて省略して、まず合併先にありきの立場で、合併後のこの地域の課題と将来像を抽象的に議論することに終始したと言わなければなりません。

 平成139月に行なわれた、任意協による4000人抽出アンケート調査は、有権者の1割たらずという、ごく限られた範囲の調査ではありましたが、小出町の場合、たった一度の合併問題での住民の意向をたずねる調査でありました。この調査では、町村合併が「必要だ」と、「どちらかといえば必要だ」、の答えが合わせて小出町49.6%、6町村全体で47%という結果で、合併について住民の多数がその必要を認めたという状態ではなかったのであります。

 「うおぬま進化論」と題する合併ビジョン以外には、合併の具体的な条件も、合併後の自治体の将来像も何も方向を示さないまま、平成14年7月には、法定の合併協議会の発足が強行されました。法定協は、合併協定を協議し決定する機関であるから、少なくとも6か町村の合併という方向性について住民の意思を確認すべきだ、住民投票か全有権者へのアンケート調査をすべきだというわれわれの提言は無視されました。

 一年間におよぶ法定協の協議のなかでも、合併はなぜ必要なのか、合併することによって、しない場合と比べてどのようなプラスが期待できるのか、という議論はついに行なわれることはありませんでした。平成12年から始まった合併論議の全過程を通じて、住民は、合併の必要性と合併後の正確な未来像を、情報として一度も与えられることなく現在に至っているのであります。

 市や町や村という自治体は何のために存在するのかといえば、それは、そこに住む人々が幸せに暮らせるようにするためであります。良い自治体、良い行政とはどういうものかといえば、それは、住民が望む方向、望む内容の行政運営が行なわれることであると思います。一言で言えば、住民の声がとおる自治体であります。私が危惧するのは、住民の声を聞くことなく推し進められた合併によって新しい自治体が生まれるとしても、その新しく生まれた自治体は、本当に住民の声、住民の意向を大切に生かすような自治体になりうるのであろうか、ということであります。私たちは、今後とも、住民が本当に名実共に主人公としてあつかわれる自治体を目指してたたかいつづけるものであります。

 北魚6町村の今回の合併について、高橋町長は、決して上から押し付けられたものではなく、自主的な取り組みの結果であるといい続けております。たしかに、6町村の町村長たちの意に反した強制は、国や県から行なわれはしなかったかもしれません。しかし、この合併が、平成17年3月を期限とする合併特例法が敷いたレールの上で進められていることはだれの眼にも明らかでありますし、新潟県知事が策定した合併促進要綱が描いた合併構想にそのまま沿った形となっていることもまた事実であります。

 そもそも、日本の国土には、人口が密集した大都会もあれば、周囲の自然環境にかこまれた中小規模の市街地もあります。また山間部に集落が点在する地域もあります。そして、人口の密集の度合いにかかわらず、大都会は大都会なりの、山村は山村なりの存在理由があることは、あらためてここで言及するまでもない、自明のことであります。そして、人口密集地には密集地なりの、地方都市には地方都市なりの、山間地域には山間地域なりの、そこにふさわしい行政形態がありうるし、なければならないと思います。人口密集地は人口の大きな自治体ができ、人がまばらに住むところは、小さな人口で行政単位をつくる、これはあたりまえのことであります。そして、それぞれの行政単位が十分に役割を発揮して住民の生活に寄与する、そのことを保障することこそ国の責任であります。わが国に政令指定都市があり、市があり、町があり、村がある、これは理にかなったことであります。それを、県の合併方針によれば、111の市町村をもち、平野部も山沿いも山間地もあって変化に富むこの新潟県を、18の市と三つの町にまとめてしまい、村はなくするという、自然条件も歴史伝統も無視した、乱暴きわまる合併推進政策であります。行政経費を節約することしか考えず、住民生活のことなど眼中にない政策であります。国がいま行なおうとしていることは、1万人未満の自治体は自治体として認めない、として、今後はアメなど与えずにムチだけで強制的に合併させる方向であります。地方の時代などと甘い言葉を一方ではささやきながら、何というひどいやり方でしょうか。私は、地方自治を破壊する、このような小泉政権の政策を、怒りを込めて糾弾するものであります。

 しかし、このような状況のもとでも、北魚6町村は、合併しなくてもやってゆくことはできるのです。先にわれわれが見解を明らかにしたように、財政的には、合併したあとでやがて襲ってくる極度の財政困難に比べれば、合併しないでこのままの形を当面続けるほうが、住民への被害は少ないのであります。合併しないとやってゆけないという議論は、はっきり申し上げて虚偽であります。ウソであります。日本全国の自治体と住民は、政府の自治体つぶしの政策を決して許さないでありましょう。小さな自治体でも生きる道がることを、事実をもって証明するでありましょう。わが小出町よりもはるかに人口の少ない町村でも、合併せずに自立の道を進もうとしているところが、全国はもとより県内でもめずらしくありません。これらの町村が、「合併しなければやってゆけなくなる」という間違った宣伝を事実によってはねかえして、立派に生きて行くでありましょう。

 私はあえて申し上げます。町制施行後百年をこえる歴史をもち、自然環境にめぐまれ、こぢんまりとまとまって暮らしやすい規模のこの小出町を、町民のはっきりとした合意もないまま廃止してしまうことには反対であります。あえてこの暴挙を実行しようとしている高橋町長、及びこれに追随または賛同しようとしている議員諸氏は、後世の歴史において、その選択を誤った人々として記録されるでありましょう。

 本日は、わが小出町議会9月議会の最終日ではありません。各委員会から付託案件の審査報告をうけて討論採決が行なわれることになっているのは最終日の本会議であります。そのやりかたをわざわざ変えてまで、6町村同じ日の議会議決にこだわる態度に、私は強い抵抗を感じます。同じ日に議決しなければどういう支障がおきるというのですか。議決が町村によって数日ずれたからといってどういう問題がおきるというのですか。このことに私はこのたびの合併の本質がよく表れているような気がします。すなわち、個々の町村の意見や事情を大切にしながらもつきあわせて合意できる点、一致できる点をさぐるというやりかたではなく、まず合併協としての方針や計画が先にあり、各町村はいやおうなしにそれに従うことが求められる、まさに行政主導、官主導で、住民不在のやりかたがここに現れていると思うのであります。

 最後に、わが小出町議会の、合併問題についての取り組み、審議状況について、ひとこと申し上げます。折角設置された調査特別委員会でありましたが、合併の是非やこの地域の将来像をめぐって議員同士でとことん議論しあう機会がもてなかったことがまず心残りであります。また合併問題での住民各層との懇談や公聴会の開催など、議会として住民との対話にとりくむというわれわれの提案もことごとく無視されました。私は、わが小出町議会が、町民の意思を充分に汲み上げながら審議し決定をおこなうという、議会として最も本質的に重要な使命を、ほとんど果たすことができないでいることを指摘しないわけにはゆきません。まことに残念であります。

 以上主として、廃置分合の議案にかかわる内容について申し上げてきましたが、他の4議案はすべてこの廃置分合に伴う問題の案件であります。したがって賛成するわけにはまいりません。

以上をもちまして、簡単ではありますが、合併5議案にたいする反対討論をおわります。