イラクのこと
                           1月12日

 

 ブッシュ大統領がイラク新政策を発表するというから、米軍の即時撤退か段階的撤退かを表明するのかと思ったら、逆に2万人の兵力を増派するという。現在送っている兵力が13万人ですから、これを15万人にするというわけです。
 ブッシュ氏に言わせると、アメリカがイラクで成功していない原因は、送った軍隊の数が少なすぎたせいだそうです。
 この人はいったい何を考えているのか、と思います。2003年の3月、イラクに攻め込んだ米軍は、半月も経たないうちにフセイン政権を倒し、イラク全土をいちおう支配下におさめたのです。当初の筋書きによれば、フセインに押さえつけられていたイラクの民衆は、躍り上がってアメリカの軍隊を歓迎し、イラク人による民主的な新政府の発足とともに、米軍は数カ月のうちに撤退することができるはずでした。
 あれから4年。いまのイラクは、毎日毎日何十人、何百人という人が殺され、米軍の死者も開戦以来3千人を超えています。
 フセイン政権はたしかにろくでもない政権だったでしょう。しかし、アメリカが攻め込む前のイラクは、少なくともこんな地獄のような国ではありませんでした。今日のような事態を招いて政策が失敗したのは、米軍がイラクに乗り込んだからであって、兵力が少なすぎたからでなんかありません!
 子どもにでもわかる道理が、どうしてブッシュさんには理解できないのでしょう。あの人は、以前、こんなことを言ったこともあります。「もしわれわれがイラクから撤退してわが国へ引き揚げるなら、こんどはわれわれはわが国を戦場として戦わなければならなくなるだろう」
 あの人の思想は、「アメリカに歯向かうやつを皆殺しにするまで戦争を続けなければならない」ということだと思います。まさにそういう思想と行動こそが、世界中に日々アメリカの敵を生み出していることに、どうして気が付かないのでしょうか。
 兵力の増派に増派を重ねて、ついに50万もの大軍を送り込んだ末に、最後はみじめな敗走を余儀なくされたベトナム戦争の教訓をどこへ置き忘れたのでしょうか。
 それにしても、「負けたままこれで引き下がるわけにはいかない。もういちど見るべき戦果をあげてから」と言いながらずるずると降伏を引き延ばし、ついに原爆投下とソ連参戦を招いてしまった昭和天皇と、ブッシュさんの考え方の、なんと似ていることよ。