「改革」の小泉さん               



 「構造改革なくして景気回復なし」と小泉さんは総裁選挙のときに言いました。総理になったいまでもそう言っています。
 私としたことが、これを聞いて、「改革ったって、何をどう改革するかが問題だ。これはじっくり見極めないと」などと思っていたのです。じっさい、小泉さんが、いままでの政治家のだれもやらなかった抜本的な改革をやってくれるのではないかと期待して、熱い視線を送っている人がとても多いようです。
 だけど、よく考えてみたら、「構造改革」というのは、英語で言えばrestructure、カタカナで書けば「リストラ」なのです。日本語で言うより英語で言ったほうがわかりやすいことばがあることに、いままで気がつかなかったのは不覚でした。小泉さんが言いたいことは、要するに、「景気を回復してくれったってそう簡単にはできないよ。まずやるべきことは社会全体のリストラだ。あまりもうかっていない中小企業なんかは全部整理してきれいにすれば、その焼け跡に、いずれは緑の若芽が出てくるさ」ということのようです。
 「不良債権処理が必要」などときけば、善意の国民は、不良債権を処理すれば景気が良くなるのだと思ってしまいますが、いろいろ調べてみると、二十万から三十万社の中小企業がつぶされ、百万人をこえる失業者があらたに生まれることになるそうではないですか。これで景気が良くなるなどということはあり得ません。小泉さんたちの立場は、不景気のなかで不良債権をかかえて困っている大銀行をもっと応援してやらなければならない、そのために中小企業が犠牲になるのはしかたがない、失業者がもっと増えるのもしかたがない、ということです。
 小泉さんというのは、ものごとをかっこよく表現するのが天才的に上手な人です。見なおしました。だけど自民党はやっぱり自民党だなあと思います。庶民よりも大企業のほうが何百倍もだいじなのです。
                  (2001.6.17記)