新潟日報投書
  2002.10.3

拉致解明だけでよいのか

  住安 孝夫64 町会議員 (小出町)

 
平山知事は朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)による日本人拉致 事件について、「真相が解明されなければ国交正常化交渉自体もあり得ない」と述べたという(本紙九月二十六日付)。本欄にも、それと同趣旨の意見が多い。
 自国の罪もない国民が、外国の国家権力によって、暴力的に捕らわれの身となって、人生を狂わされていると聞けば、世論が憤激するのは当然である。
 まして拉致された人たちの約三分の二が、三十歳になるかならないうちに死亡したという不自然な話を聞けば、なおさらである。
 しかし、だからといって、交渉はやめてしまえという議論は、どうかと思う。交渉なしに、どのような方法で拉致問題の真相解明ができるのであろうか。
 国交正常化問題はさておいて、拉致問題だけの交渉をせよ、というのかもしれないが、現在まで闇に包まれたまま、一歩も前進しなかった拉致問題の真相が、いくらかでも表れ始めたのは、国交正常化をめざす話し合いを、小泉首相が決断したからではなかったか。
 北朝鮮の国家犯罪は、断じて許すことはできないが、過去に何万人という朝鮮人を強制連行し、強制労働によってその多くを死に至らしめながら、遺族には何の補償もしていない日本のことも、また忘れるべきではないのである。